【青森県 国民健康保険大間病院より】本州最北端の僻地医療2 ~看護師も医師もできることは何でもやる(やらないといけない)!~

2021.06.01
本州最北端の僻地医療2 ~看護師も医師もできることは何でもやる(やらないといけない)!~

こちらのレポートは、前回の「本州最北端の僻地医療1~陸の孤島にある病院事情~」続きになります。

青森県の大間町にある大間病院で8カ月間、病棟で勤務をしていました。

入院病棟は1つ、その場所に様々な疾患を持つ患者さんが入院します。脳血管疾患、消化器疾患、呼吸器疾患、婦人科疾患など病態は多様で、急性期や終末期の患者さんもいます。大間町の僻地医療を担う唯一の病院であり、ここに患者さんは集まってくる。だからこそ、色々な病態を把握し、日々看護にあたらなければいけないと感じていました。

そして勤務をした8か月間、スタッフの方に対して感じたのは、ここで働く看護師の方々のほとんどがマルチプレイヤーであるということです。外来、病棟、透析、訪問看護と週や月替わりで勤務場所が変更となったり、単発で人数不足の部署へヘルプで勤務をしたりしていることもありました。マンパワー不足の環境だからこそ、皆さんは色々な場所で業務をこなすことを当たり前の様に慣れている印象でした。

また、私が勤務していたときはソーシャルワーカーがいないため、退院支援の調整も看護師が行っていました。ポケットエコーも使いこなし、膀胱留置カテーテル抜去後、自排尿がなかなか確認できないときなどは、医師に報告・相談する前に自分たちでエコーを使用して確認を行っていました。

これまでの経験では、退院支援が必要であれば、ソーシャルワーカーに相談し調整を依頼する、自排尿が確認できなければ、腹部の観察などを行い、膀胱留置カテーテルの再留置や導尿を行うかなどを検討するといった対応をしていました。
人手不足や専門職が不在の環境では、看護師の業務を分別するのは難しく、その場合、自分達でやれることはやらなければならないということを経験しました。

病棟勤務経験のみの私にとって、業務内容の異なる環境に臨機応変に対応している姿や、できることはやるといった姿勢は、頼もしく、自分もそうなりたいと思いました。

また、できることは自分でやるというのは医師の場合も同様です。休日など、臨床検査技師が不在の際、医師は採血検査(器械操作)を自分で行います。また、レントゲン撮影も行いますし、医師によってはCT撮影も行っていました。

大間病院では研修医の受け入れも行っていて、病院の研修終了時に報告会があり、一度参加する機会がありました。総合病院などで研修を行っていた医師にとって、大間病院での経験は今までしたことがなかったようで、私が参加したときに報告をした医師は、「今までは自分の専門外であれば、すぐ他科へコンサルトできたけど、ここでは自分で判断する力が求められる。大間病院で入院治療をできる状態か転院をした方が良いのか決めるのが難しい。」「採血検査も自分でやったりと、今まで任せていたことがここでは当たり前じゃない。」と、各々口にしていました。

大間病院での勤務を通して、医師も看護師(私)も感じることは共通しているのだなと思いました。
十分なスタッフがいて、各分野の専門職がいて、患者さんのケアにあたることができる環境はもちろん素晴らしいと思います。でも今回、大間病院での経験を通して、自分でやるという姿勢を持つことも自己の成長につながる大切な機会だと感じました。

本州最北端の僻地医療2 ~看護師も医師もできることは何でもやる(やらないといけない)!~

山本 泉

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