本州最北端の僻地医療3 ~無医村への診療同行~

2021.06.04
本州最北端の僻地医療3 ~無医村への診療同行~

こちらのレポートは、「本州最北端の僻地医療1~陸の孤島にある病院事情~」「本州最北端の僻地医療2 ~看護師も医師もできることは何でもやる(やらないといけない)!~」の続きになります。

なぜRIKA jobの派遣先の病院の中から、青森県の大間病院を選んだのかというと、地域医療の経験をしたいことと、無医村での診療に興味があったからです。

大間病院は大間町と両隣にある佐井村、風間浦村を含む、人口約9000人の地域の方々の健康を守る病院です。私は基本病棟勤務をしていましたが、訪問看護や無医村の診療に同行する機会もいただいており、高齢化や過疎化の進む土地での患者さんの暮らしや、医療に触れることができています。今回、初めて経験した無医村への診療同行についてお話したいと思います。

無医村への診療は、佐井村にある福浦地区と牛滝地区で行います。福浦地区は車で片道約1時間・月3回の診療、牛滝地区は片道約1時間半・月1回の診療で、医師1名、看護師2名が診療所に赴きます。
診療所までの道は舗装され整っていていますが、何度も山道の上り下りを繰り返します。そのため、診療所に行く前には『酔い止め飲んだ?』と聞かれ、病院に戻ったあとには『酔わなかった?』と毎回聞かれます。往復の移動時間もあるため、診療所での滞在時間は1時間~1時間半ほどになります。

本州最北端の僻地医療3 ~無医村への診療同行~

1日の外来受診人数は、福浦地区で10~13人、牛滝地区は3~5人ほどです。それぞれの地区に住み、通院している方たちなので、皆さん顔見知りです。私たちが診療所に到着すると大体皆さんで談話されています。診療所では、そんな方達の健康状態確認を主に行っていました。

本州最北端の僻地医療3 ~無医村への診療同行~
上の2枚の写真が福浦診療所 / 下の2枚の写真が牛滝診療所

そんな場所で私が毎回ドキドキしながら行っているのが『採血』です。なぜドキドキするのかというと、採取した検体は持ち帰り、大間病院で検査を行うため『採り直し』ができない一発勝負なのです。病棟であれば、万が一溶血や凝固してしまった場合、再検査(良いことではありませんが…)ができます。でも、診療所に通う患者さんの場合、そうはいきません。検査に有効な検体が確保できなければ、次回の診療所訪問の際、内服薬の調整や、貧血やカルシウム剤の注射の量が決められない、といった治療に大きく影響が出る可能性があります。そのことを想像しただけで、普段病棟で行う採血のとき以上の緊張感が出てしまい、病院へ持ち帰った検体の結果が出るまで、私はソワソワして安心できませんでした。採血結果が反映されたことを確認できたときは、何とも言えない安堵感に包まれました。
 
無医村への診療同行を経験し、病院で当たり前に行っていることが、医療従事者が常駐していない場所では当たり前ではないこと、大間病院は、病院に来る人達だけではなく、地域に住む方達の健康を守り続ける大切な役割を担っている場所だということを肌で感じることができました。
大間病院での勤務を通じて、地域医療の一端に触れる貴重な経験ができました。

山本 泉

☟福浦診療所・牛滝診療所へ向かう途中にある『願掛岩』。迫力があり、好きな景色のひとつです。
本州最北端の僻地医療3 ~無医村への診療同行~

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