興味本位だった離島医療に魅了され地域医療を学ぶ(大阪府出身 看護師5年目)

私はこれまで奈良県の市立病院で3年半年働いてきました。

消化器外科の急性期病棟にいたので、毎日目まぐるしく15分程でご飯を食べ仕事をする様な忙しさでした。
そんな仕事に追われる中、自分がやりたいこととはなんだろうと疑問に感じはじめ一度退職し、学生の頃から興味があった海外留学へ特に理由もなく行ってみようと思いました。

ですが留学への手続きを行っている中、コロナが流行してしまい一度保留となってしまいました。
留学もできないし、のんびり看護師でもして時期を見図ろうかと思い名前も知らなかった喜界島へ興味本位で来ることになりました。

喜界徳洲会病院に来て約半年。ここへは全国各地から多くの応援の看護師が集まります。
応援に来る理由は人それぞれで、様々な経験と職歴を持つ看護師たち、自分達のやりたいことや将来の夢を持った看護師達と働くことはとても刺激的です。
3ヶ月の応援予定でしたが気がつくと半年以上経ちました。

島唯一の病院ということもあり、様々な疾患を抱えた患者さんが入院してきます。

消化器外科しか経験のない私にとって分からないことが多く不安な日々でしたが、応援のスタッフに教えてもらいながら様々な疾患の勉強をすることができました。
島外搬送にも行くことができました。初めての自衛隊ヘリでの搬送、ヘリで揺れる機内で血圧測定や患者さんの状態観察。
不安と緊張でいっぱいでしたが、とても貴重な経験ができました。

そして、ここで働く常勤の看護師達は日頃から様々な疾患を診ているため幅広い知識があり臨機応変に対応されています。
スタッフのみなさんはフレンドリーさ暖かさがあり、応援のスタッフが多いからか、応援者に慣れており相談をしやすい環境です。
島のお菓子を食べながら談笑する休憩は楽しいですよ。

限られた資源しかない島では、島外に行けば治療を受け長生きできるかもしれない患者さんでも、
「もう十分に生きたし最期は好きな島で過ごすよ」と喜界島に残る選択をする患者さんを多く見ます。

病気と共に住み慣れた島で、最期まで暮らしていく人達を支える。そんな離島の医療を通じ地域医療に興味を持ち、ソーシャルワーカーの資格を取りたいと思い立って、看護部長へ相談することにしました。
応援に来ただけの人が、好き勝手なことを言って怒られるかもしれないと思いながら看護部長へ思いを伝えると、自分の予想とは真逆の答えが返ってき移動させてもらう事ができました。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
そして現在、地域医療連携室へ移動にしてから約1ヶ月が立ちました。　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
今までざっくりとしか関わったことのなかったMSWとして1年実務経験をし、来年は国家試験に向け学校へ行き勉強する予定です。
応援者であってもこうしてやりたいことを応援してくれる環境は、内地ではなかなかないと思います。
喜界島に来なかったら思いつきもしなかった夢ができ、やりたいことを実現するために今まで以上に勉強に励みながら、
地域の患者さんのためになるような働きができるよう頑張っていきたいと思います。

最後に島での生活についてです。
病院から自転車が貸し出しできるため、島内の移動は基本自転車です。
自転車で行ける範囲に、夜23時まで空いているスーパーや日用品店、100円ショップがある雑貨店などが数店舗あるので生活には困らないです。
病院の寮は掃除が丁寧にされており、すごく住みやすいです。
虫については地元の方から虫対策について教えてもらい、生活の知恵になっています。

そして一番の魅力は海が本当にきれいです。
病院から自転車で10分程度で水が透き通っているアクアブルーの海につきます。

小さなパンとお菓子のお店でパンを買い、海でのんびりしながら食べて過ごします。
波と風を全身に感じながら、SUPで海に出るのも楽しいです。
最近はかわいいコーヒースタンドができ、いい匂いのコーヒーをマスターが淹れてくれます。

夜は満点の星空の下、地面に寝っ転がって月光浴。
同じ応援者同士、みんなで集って呑みに行き他愛のない会話で盛り上がりまた次の日から一緒に仕事をします。

最初の頃は不便に感じることが時々ありましたが、最低限のもので生活はできるので、島の生活に徐々に慣れていき何でも揃っていることは必要なことではないと感じています。

都会にあるものは少ないかもしれませんが、喜界島には都会にないものが沢山あります。