【青森県 国民健康保険大間病院より】僻地医療への決意と大間病院での1ヶ月 (愛知県出身/看護師8年目)
私が看護師になる20歳の頃、私のやりたい看護として履歴書で決意していたことがあります。
「患者ひとりひとり、看護業務の一つ一つに丁寧でありたい」
「健康障害が生じても、地域でなるべく笑顔で患者や家族が暮らし続けることができるよう支えたい」
その思いで私が初めて働いた場所は、愛知県の中では僻地と言われる地域密着型の病院でしたが、その後スキルアップを目指して大学病院のICUに転職しました。
看護師8年目を迎える頃に「自分のやりたかった看護は何か」と、初心を振り返る機会がありました。
そこで気づいたのは、自分が環境の格差にジレンマを抱いているということでした。
最も感じた格差は、生きる事への価値観に対する医療や看護のあり方です。
私は、どんな環境であっても人には各々のこれまで培ってきた人生があり、価値観があり、なるべく尊重されるように支えていきたいですし、それは本人や家族から引き出さないと見えてこないと思っています。
ICUでは、そうしている猶予がない時、思いを後回しにして医療が先行していくことが多くありました。
でも、ふと気づくと「この人の人生はこれでいいのか」と思う日々でした。
あらゆる資源が整っている環境で高度医療をサポートする看護も大切ですが、私自身は、資源が乏しくても住み慣れた地域で患者や家族が望む形で暮らし続けることができるよう支える看護がしたいんだと思ったとき、Rikajobという手段と出会うことができました。
「病院の枠や凝り固まったルールに縛られること無く、柔軟に地域の人の人生に寄り添う看護が学びたい」
「自分の看護感を見つめ直したい」と思い、私は大間病院への派遣に挑戦することを決意しました。
大間に来て1ヶ月、日勤・夜勤など病棟業務に加えて、退院前訪問・訪問看護・1時間以上かけての転院搬送と、様々な経験をさせていただいています。
そのなかで痛感するのは、大間病院の支える一町二ヶ村はADLが低下すると非常に暮らしにくい環境であるということです。
地域の特徴として、住まいは雪国特有の古い家が多く、足元の悪い場所も数多くある現状です。
高齢化率は非常に高く、介護施設のニーズは高まる一方ですが、大間の高齢者施設は3つ、大間病院には病棟は1つだけであり、住み慣れた場所を離れざるを得なくなることもあります。
公共交通機関も整っておらず、他の地域の施設や病院は遠方となるため、家族や親しんだ人と簡単には会えなくなることもあります。
厳しい環境でありできることは限られていますが、総看護師長は「自分達がそれを補う資源となるよう努力している」といいます。
確かに、大間病院の看護師はこの地域のこと、活用できる資源のことを本当によく知っていて、病院に来る人達との信頼関係が既に出来上がっていることが多いです。
足りない専門職の知識を他の専門職が補い合っており、連携が必要な消防など他の機関との情報共有も為されています。
そうして患者さん、ご家族の思いに寄り添えるよう尽力しているのだと実感しています。
まだ赴任して1ヶ月ですが、看護の中で戸惑いを持つことも多くあります。
しかし、そんな心強いスタッフに囲まれ支えられて、医療者と対象者の枠組みにとらわれること無く、人と人であるという意識が大切だと気づかされながら毎日を過ごしています。
これからも、地域を丸ごと支えているスタッフと一緒にこの地域の人のことを目一杯考え、皆さんの努力する姿勢を学びながら、私も大間病院の資源の一員となれるよう頑張っていきたいです。