カンボジア看護師ソペアさん、日本の病院を初体験!(山梨市立牧丘病院)

2019.12.19

今回はRIKAjobで山梨市立牧丘病院に派遣中の看護師、吉田さんよりレポートが届きましたのでご紹介いたします。

ジャパンハートのカンボジアこども医療センターで働く現地看護師ソペアさんが初めて来日し、牧丘病院へ訪問した時の様子をレポートしてくれています。吉田さんはジャパンハートの国際看護師研修へ参加され2018年にカンボジアで活動されていました。
その時、現地ジャパンハートの病院で病棟リーダーとして働いていたのがソペアさんです。

カンボジアの病院では患者さんが入院すると家族が泊まり込みで付き添い、身体介護、食事の準備など身の回りの事は家族がやるというのが日常です。カンボジアと日本、まったく違う環境の医療現場で彼女は何を見て、何を感じたのでしょうか。

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今回は、カンボジア看護師のソペアさんが牧丘病院に来てくれたことを書きます。

【1日目】
午前中は病棟で清拭や食事介助を体験。
カンボジアでは患者とともに家族も病院へ寝泊まりし、食事や清拭など日常生活援助は全て家族が行うため、ソペアさんにとってはこのような援助は初体験でした。
その後もリハビリの見学に行ったり病院内を散策したりしました。
院内を回りながら常に笑顔のソペアさん。
その愛嬌ある笑顔に患者さんもスタッフも虜になっていました。

僻地 医療 カンボジア看護師ソペアさん、日本の病院を初体験!(山梨市立牧丘病院)

その後、富士山を見にドライブへ行きましたが今回は雲がかかり顔を出してもらえず、がっかりして帰路につきました。すると、大勢の病院スタッフが我が家でせっせと、手巻き寿司と鍋の用意をしてくれていました。
ソペアさんはカンボジアの病院内では年長者で皆から頼りにされる存在でしたが、この時は年上の人たちに囲まれて妹のようにかわいがられるという、新鮮な感覚を味わってくれたように思います。

僻地 医療 カンボジア看護師ソペアさん、日本の病院を初体験!(山梨市立牧丘病院)

【2日目】
2日目は訪問デーです。
午前中は訪問看護に同行。
人と接するのが特に好きな患者さん方ということで、たくさんお話しをしてくれました。またお花を庭から摘んで来て、ソペアさんにプレゼントしてくれました。
訪問では病院とは違い、様々な場面で自宅にあるものを活用している、という点も見ることができました。
午後には、医師の往診へ同行。
若い終末期の方。自宅で点滴をされている方。ご自分で動くことが難しく日中は一人で過ごされている方。
いろいろなお家に同行しました。患者さんのご家族と一緒にお茶をする時間もつくっていただきました。
今回初めて日本の家に入り、生活の場をみて「日本の家はとても静かだね」というソペアさんの感想はすごく率直だなと思いました。

僻地 医療 カンボジア看護師ソペアさん、日本の病院を初体験!(山梨市立牧丘病院)

ソペアさんはいつも周りを良く見ていて、相手が求める事、言いたいことを察して動いてくれ、カンボジアでいろんな経験してきたことで培われた柔軟性に感心させられました。
私なら異国の病院に1人で来て、初めて出会う終末期の患者さんに自ら触れたり医師にいろいろ質問したりなど、そこまで積極性を持てないなと感じました。

今回の牧丘病院への訪問でソペアさんから「私たちはたった1人のために、自宅を訪問するのは難しい」「ここは物やサービスがたくさんある。カンボジアには、ない」「なぜこんなに採血をするの」「どうして病院に家族がいないの」という言葉が聞かれました。
日本の医療を見たところで、カンボジアは全く違う環境であるし、今回ソペアさんは何か学べたのかな、これで本当によかったのかなと感じていました。
しかしある人に「別に彼女が日本の医療を良いと思わなくてもいいんじゃないか。こちらが彼女に教える事なんてあったかなと思う。」と言われ、そうだなと思いました。

ソペアさんが来てくれて、逆に私が今やっていることは本当に正しいのかと考えたり、日本に戻って当たり前になっていたことが沢山あったなと気付かされました。今回の訪問がソペアさんにとって、自分の国の良いところ、自分の持っている文化や感覚など、当たり前で気付かなかったことに気づくきっかけになればと思います。
また、普段カンボジアで一緒に働いている日本人がどんなところでどんな医療を行っていたかを知り、異国で看護や生活をする感覚を味わい、今後のソペアさんの看護や日本人と働く場面に役立ててもらえれば幸いです。

最後に、ソペアさんの訪問について即快諾してくれ、訪問の調整や歓迎パーティーの準備を私よりも積極的にしてくれた牧丘病院スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。

牧丘に来てから、なぜ短期しかいない私にこんなにもよくしてくれるのだろう、と思うことがよくあります。
牧丘のみなさんにとっては「別に普通のこと」らしいのですが、ここが牧丘病院の温かさなのだと改めて感じました。

山梨市立牧丘病院 
吉田裕香

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