看護師人生に刻まれる出会い~国民健康保険大間病院~(愛知県出身 看護師9年目)

2025.08.22

大間病院勤務時の患者様との出会い、
ご家族が離れ離れにならない選択。ご自宅で過ごす大切さを改めて感じられ
患者様の気持ちに寄り添う大間病院~看護の姿を綴っていただきました。

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看護師として、これからもひとつひとつの出会いを大切に
経験を積んでいきたいと思えたのは、大間病院勤務のなかで、
あるご夫婦に出会えたからです。

その患者様は、60代男性、視床出血で一度大間病院に搬送されてきましたが、
高度な医療が必要と判断され3時間ほど離れた病院へ転院搬送となりました。

急性期治療が終わり大間病院へ再度転院されて来た時、
ご家族には予後について病院での看取りも視野に入れた厳しい病院説明がされました。
患者様本人は、意識障害下にあり意志表示困難であったため、
特にキーパーソンとなる奥様には代理意志決定が求められる状況にありました。

私がはじめてご夫婦と対面したのは転院してきて数日後のことでした。
奥様の意志が固まっておらず、戸惑いの大きい時期でした。
その頃病棟は面会制限下ではありながらも、
状況を鑑みて一部患者に限って面会を緩和しており、この患者様もその対象でした。
日勤受け持ちとなったある日、面会に来た奥様とお話しすると、
思っていたより気丈にされていたため、
一見状況の受け止めは出来ているものと思われました。
しかし目の前で吸引や口腔ケアをしていると、
時々奥様がとても不安な表情をされることが引っ掛かりました。

奥様の意思決定支援で今必要なことはなにかと考え、
奥様に思いを聴かせていただくと、現状を理解しきれていないために
困惑していることに気づかされました。

前医では一度も面会することできず、夫の状況を知りたくても知れず、
どんな構造かよくわからない気管切開をされ、
意志疎通もほとんど図れない夫を目の当たりにし、
重ねて厳しい病状説明をされ、急に迫られた大きな決断。
奥様の心は混乱の渦中にありました。
涙ぐみながらお話する姿は今でも頭から離れません。

そんななか、奥様から「髪の毛が気になる」と言われました。
意志決定支援の上では、対象が気持ちを語り、
見つめ直せるような環境作りが重要と言われています。
どんな選択をするのも、このご夫婦と周りの家族とが決めていく道です。
まずはこの、奥様の旦那様に対する小さな気付きや感情の変化を汲み取って、
奥様自身が現状と向き合えるような環境作りをしたいと思いました。

許可を得て、奥様と共にベッドの上で髪を切り、髭を剃り
「寝てると難しいね」「こんなに痰が出てくるのね」「ちょっと嬉しそう」
「髭ってこんな風に剃るのね、知らなかった」など、
感じたことを口にし合いました。決定を急かすのではなく、
旦那様とちゃんと向き合い答えが出せるように、待つ姿勢を大切にしました。

転院してきてから1ヶ月ほどで、奥様は他のご家族ともたくさん相談し、
胃瘻造設をして長期療養を見据える決断をしましたが、またひとつ、
へき地であるための障壁がありました。
青森県内には気管切開患者を受け入れることの出来る施設が2つしかなく、
大間からと考えると極めて遠方でした。ということは、また離れた生活を強いられるか、
自宅で介護するのか、という新たな選択が待ち受けていました。

しかしそこから自宅で介護をする選択をするのに長くはかかりませんでした。
奥様は胃瘻を造る決断をした頃から、
旦那様の未来と少しずつ向き合えるようになっていました。

在宅療養に向けては、病棟スタッフと協働して退院指導を計画し実践しました。
しかし、気管切開カニューレの計画外抜去や、昼夜問わず頻回に必要な吸痰、
体格の大きい患者様の体位変換やオムツ交換など、
一人で介護をするには大変であろう問題が多く、
一部では在宅療養は困難なのではないかという意見も出ているほどでした。

それでも、どう介入していくと一番良いのか、スタッフ同士で話し合いを重ねながら
指導や自宅の準備、サービス調整を続け、少しずつ着実に奥様は介護技術を習得し、
患者様からそれに応えるような反応が見られることもありました。

病院に宿泊してもらって付き添いながら、
自宅で奥様の生活と旦那様の生活をイメージした指導を行ったことや、
自宅に事前訪問して必要な設備を多職種で話し合ったことは特に印象深いものでした。

沢山の山を乗り越えて退院を迎え、
奥様から「今は看護師さんに見守ってもらってるから安心、家に帰れば不安だけど、
皆さんがいつも付いていてくれるみたいだから大丈夫」という言葉を聞いた時、
あの混乱の渦中からは想像できないほどたくましい姿に心打たれたと同時に、
在宅療養に向かい行く人が安心して生活できるためには「振り返れば見守ってくれている」
そんな存在が大切なんだと痛感させられました。

退院後訪問看護に同行した時、奥様はどっしり構え余裕さえうかがえました。
なにより、患者様が病院では見せなかったほど和らいだ表情を
見せていることが嬉しかったです。
ご夫婦の新しい生活づくりに寄り添って支える気持ちでいましたが、
いつの間にか私自身がその力強さに勇気付けられていました。

任期を終えて、ご夫婦を今後も見守っていきたい名残惜しい気持ちもありますが、
きっと、大間病院含め地域の柔軟なサポートを受けながら療養されていくことと思います。
この経験を心に刻み、自分の地元に戻っても、関わる方ひとりひとりの力を信じて見守り、
安心して生活してもらえるよう看護師として努力を重ねていきたいと思います。
(A.Yさん 大間病院)

大間病院訪問車↑

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