訪問看護の力 – 大間病院で働く看護師のレポート

2021.07.20
看護師 キャリア 訪問看護 大間病院

私は八戸市(大間から車で3時間、青森県の県南)からご縁があり、結婚し2010年より大間病院で働いています。私は2017年から訪問看護に関わり、1日5~6件のペースで大間町・風間浦・佐井村の患者さん宅を訪問させていただいています。

訪問患者さんの多くは老々介護で地域の社会資源を有効活用したり独居でサービスをうけています。週1回の私達の訪問を「あなた方がくるのを待ってたー」といってくださる方がいて、看護の醍醐味を感じさせて頂いております。
関わりのなかでさまざまな出会いがあるなか、心に残る出会いを紹介いたします。

【在宅お看取り】
大間病院は在宅療養支援病院であり、在宅診療や訪問看護を行い「最後は自宅で過ごしたい」、「最後は自宅で看取りたい」という終末期の患者様やご家族の想いに寄り添い在宅看取りを行っています。今年度は、20名の方を自宅で看取りました。

【あなたらしい最期であるために~60代の直腸がんターミナルの女性~】
看護師 キャリア 訪問看護 大間病院
Sさんは旦那さんと息子さん、猫と暮らしていました。他院で手術、抗癌剤治療後に大間病院へ転院となりましたが、Sさんの「家に帰りたい」という想いから様々なサービスを調整し自宅へ退院しました。
病状の進行に伴い全身状態は悪化し、寝たきり状態となっていきました。「少しでも長く生きて欲しい」という旦那さんの想いもあり、医師と相談しながら抗癌剤の内服を続けていましたが、副作用による症状で大間病院へ入退院を繰り返しました。

自宅で過ごす間、訪問看護では全身状態の観察や肛門から盛り上がってきている腫瘍の観察と処置、疼痛状態をみて医師と相談し疼痛コントロールを行いました。また、シャワー浴の介助等を行い、自宅で過ごすSさんや家族の不安や想いに寄り添いました。

Sさんはいわゆる「女子力」の高い方でした。普段ほとんど化粧をしない看護師には、「あんた女なんだからアイラインくらいひきなさい」とアイラインの引き方を教えてくださいました。ピンク色が好きで身の回りのものは全てピンクで揃え、手先が器なSさんが作った小物が自宅にはたくさん飾られていました。

当院へ転院してきて入退院を繰り返し約1年が経過しようとする頃、最期の時がいよいよ迫っていました。自宅で過ごすSさんの状態観察や家族の不安軽減を図るため、訪問看護の回数を増やし訪問を行いました。意識が朦朧としていく中、Sさんは突然大きな声で「愛してる」と旦那さんへ伝えたことがありました。

そして最期の日の朝、Sさんの旦那さんから訪問看護の携帯へ「呼吸が止まったようだ」との連絡が入り医師と訪問しお看取りとなりました。数日後に訪問看護師で弔問した際、旦那さんは「あとは遺骨を納めたら俺の役目は終わり。本当に色々とありがとう。俺が倒れた時は訪問看護頼むな。」と話してくれました。
Sさんと関わらせていただいた約1年間は短くも濃い1年でした。

【その他にも】
看護師 キャリア 訪問看護 大間病院
その他にも、最期の日の朝まで大好きなタバコを吸っていた方、ベッドの横で家族が昔話に花が咲き盛り上がっている中で息を引き取った方、無口で何も話さない方が最後に一言だけ「ありがとな」と私たちに伝えてくれたことなど、これまでに立ち会ってきた在宅看取りにはそれぞれ忘れられない経験があります。

数少ない資源に悩み、思い通りに動くことができずに苦しむ事もあります。しかし、その中で私たちはこれまでに経験し頂いた言葉を励みに終末期の患者様やそのご家族が最後の時間をなるべく穏やかに少しでも悔いのないよう、ご本人やご家族とたくさん話し合い、支えることを目標に日々活動しています。

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